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店主ワールド紀⾏

Vol.4 ヨルダンの食ってどんな感じ?(前編~食事編/ホブス/フムス/マンサフ/マンディ/ケバブ/ザルブetc~) #店主ワールド紀行

#世界の果てのあんなとこ

 

今回はヨルダンの食事情についてお伝えしていきます。

 

 

謎に満ちた中東の食事

中東の食事といったら皆さんはどのようなイメージをお持ちでしょうか?なかなかピンとこない方も多いかと思います。宗教と食が密接な関係でもあり、中東圏はイスラム教の信仰者がとても多くヨルダンでは90%程がイスラム教徒です。イスラム教で禁止されている有名な食べ物として、アルコールと豚肉があります。

 

ハラールとハラーム

「ハラール」とは、イスラム法で許されている食べ物という意味です。反対に「ハラーム」とは、禁止されている食べ物(やってはならないという意味)をいいます。

 

ご法度な食べ物でも、解釈の違い、線引きの違いから、国や人それぞれで厳格具合が全然違ったりするのは面白いところです。ハラール認証という言葉を聞いたことがある方もいるかもしれませんね。イスラム圏以外の地域や国々で過ごすイスラム教徒の方々は認証機関発行のマークの無い食品は口にしないといった方々もいます。

 

では本題に。

 

用途はさまざま、主食のホブス

 

主食は「ホブス(パンの総称)」。

平たく丸い形のもので、小麦粉、塩、水などを混ぜてこねて焼いたシンプルなパンです。ふっくらしたものや薄く少し空洞のあるものまで、形や大きさは様々です。

 

レストランなどではメインを頼むとホブスは勝手に出てきます。

焼きたてをその場で出してくれるお店のホブスはとっても美味しくモチモチです。イスラム教の教えでは、パンは神の恵みの象徴であり、捨てたり、踏みつけたりすることは禁じられているようです。そのままでも食べますが何かをつけたり、お肉やサラダを巻いたりして食べたりと色々です。お皿代わりに料理の下敷きにしてみたり、ラップ代わりに料理に蓋をするような光景も目にします。

 

 

病みつきになるフムス

「フムス(ホンモス)」。ホブス(パン)につけたりして食べます。ひよこ豆をペースト状にしてニンニク、スパイス、オリーブオイル、塩などで調えられたものが一般的です。ホブスとフムスは至るところで勝手に出されるので食べる機会も多く、初めは好んで食べることはしなかったのですが、回数を重ねるごとに病みつきになっていきました。今ではないと物足りないまでに。日本人のご飯と味噌汁はセットです。というようなものかもしれません。

 

そしてパンだけではなくご飯も食べます。

お米とヨーグルトが意外に合う!マンサフ

「マンサフ」。伝統的なヨルダン料理の一つ。おもてなしや特別な時の料理としても食される。羊肉とヨーグルト、様々なスパイス、塩胡椒で味付けされているものが一般的です。お米とヨーグルトという組み合わせは日本人には斬新ですよね。羊の臭みがなく、くど過ぎない感じでとても美味しいです。

 

鶏肉を豪快に食すマンディ

「マンディ」アラブ圏一帯で食べられるご飯料理。スパイスをたっぷり使ったピラフにこんがり焼いた鶏肉を載せた料理。味付けは違えど米と鶏の組み合わせは世界中に存在しますよね。日本では親子丼やかしわ飯、タイではカオマンガイなどなど。お肉料理は羊と鶏がよく食べられます。焼いたり煮込んだりとたくさんの料理があります。

 

スパイスをきかせたとびきりおいしいケバブ

「ケバブ(カバーブ)」。羊肉や鶏肉のひき肉や様々な野菜、スパイスが入っていて美味しいです。大きな角切り肉(羊鶏牛など様々な部位)や野菜を串刺しにして焼いても食べます。とても大きく1本が日本の一般的な焼鳥の5本分程度はあり、満腹感の高い肉料理です。

 

 

神聖な儀式とともに命をいただくザルブ

 

「ザルブ」アラブの遊牧民(砂漠の住人 ベドウィン)の伝統的料理。羊肉と様々な野菜を専用鍋に入れて地中に深く掘った穴に入れ蒸し焼きにした料理。素材本来の味わいがダイレクトに伝わり、文明から閉ざされた砂漠で月明かりに照らされながら食べるザルブは格別な味わいです。

 

 

「ザルブ」が出来上がるまでの工程

大まかなイメージで言うと、砂漠地帯の地中にドラム缶がすっぽり入るくらいの穴を掘り、その奥底にバキバキに焼いた炭を入れる。その上に何層にもなった大きめの専用鉄板(専用鍋?)をすっぽり縦に入れて鉄の蓋をする。そしてさらに砂をかけてしばらく放置したら蒸し焼きザルブの完成です。ホクホク野菜や肉はたまりません。

 

月明かりの下、文明から閉ざされた砂漠の真ん中で、ベドウィン(砂漠の住人)の方々と食後をのんびり

 

 

食卓に欠かせないのはオリーブ

 

日本と同じく四季があるため、野菜や果物は豊富でよく食べます。オリーブやオリーブオイルは当たり前のように存在しており、日本でいう醤油が当たり前のようにテーブルにある感覚に近いかもしれません。

 

 

オリーブオイル豆知識

統計データや年ごとの違いはありますが、生産量上位はスペイン、イタリア、モロッコ、ギリシャ、トルコが世界上位を占めていますね。よって日本のスーパーや百貨店に並ぶオリーブオイルの殆どが、この辺りの国になっているかと思います。中東の小国であるヨルダンやシリアも実は10位〜15位には毎年入りますので、いかにオリーブがよく実る地域かがお分かりいただけるかと思います。日本ではほぼ流通していませんので、行くとあらゆるオリーブオイルを購入します。帰国後にもヨルダンを味わう楽しみの一つです。


魚は食べるの?

海は南部の一部が紅海に面しており(アカバというビーチリゾート地で有名)、スーパーなどで魚は並んでおり買うことはできますので、肉が中心ですがグリルして食べるようです。日本料理もどきを出すところで、微妙過ぎるなんちゃってお寿司は食べれますが、現地の方は生魚を食べる習慣はまずないようで、お寿司用の魚は冷凍で空輸されて入ってきているとのこと。

 

全体的にスパイスを使った料理が多く甘いものもよく食べます。逆に唐辛子系の辛い料理はあまり見かけません。

 

知らないと戸惑う?日本と真逆のマナー

食事をご馳走になる時、全部食べることはマナー違反で、少し残すことが正しいマナーです。足りないという意味あいに繋がりホストを残念な気持ちにさせてしまうようです。お腹いっぱいであったとしても何も知らない頃は日本人基準のマナーとして自分のお皿を平らげますよね?すると、もっと食べろと、どんどん料理をサーブしてきます、笑。おもてなしですが知らないと罰ゲームですw。残さず食べようと教えられた日本の文化や礼儀が決して世界のスタンダードではないことは面白いことですね。

 

文化やマナーの違いに戸惑うこともありますが、日本を出れば外国人。異国の人間だから“大丈夫”ではなく、その国のしきたりに敬意を払うことは大切ですね。

 

 

渋谷区にある駐日ヨルダン大使公邸にて。当時の特命全権大使、ディマイ・ハダッド閣下夫妻に招待いただいたこの時も、テーブル中に沢山のお菓子や飲み物が並び、おもてなしを受けました。感謝です。

 

後編をお楽しみに。

 

後編、Vol,5はこちらから

 

 

店主ワールド紀行とは
世界65カ国を訪れたトリネティジャパン店主による気ままな海外放浪記。トリネティ本国のヨルダンを中心とした世界の果てのあんなとこを、店主目線で切りとった地球のオモシロサを綴ります。気分で書きますので更新頻度は低めですが暇つぶしにどうぞ。

 

 

※会員誌、TRINITAE LIFE Vol.4に掲載されたものです。

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